五色文庫

【薄桜鬼 黎明録】黒崎真音

もう、もう戻れない　あの日々を恋焦がれていても
もう一つだけ　残された道があるとしたら　そう　此処にある
信念（おもい）の炎（ひ）を胸に灯せばいい
浅葱の夕闇に　満ちゆく希望（ひかり）を

黎明の地　三日月　濡れた明星（あけぼし）
時代（とき）が巡っても　心の奥で呼んでいる

遥か彼方で鳴り響く声明（こえ）　信じた契貫く
永い追憶（ゆめ）の瞬きを　この身に刻んで
明けゆく空に心向ければ　痛みの本意（いみ）に気づくだろう
色褪せない閃光（かがやき）を抱いて　黒き闇へ歩き出すよ

そう　哀しみは幸福（しあわせ）と隣り合わせに在る
そう　望むなら　慟哭の涙を拭いたい
そう　虚無（むな）しさの先にある真実を見つめて
立ち込む闇雲に惑わされぬように

握りしめた掌　揺れる面影
耳の奥　木霊（こだま）した声音（こわね）は変わらぬまま

この胸叩き　この背を押して　何度も立ち上がるから
吹き抜ける疾風のように　いつも側にいて　笑いかけてた　一人じゃないと
最期まで闘う強さを忘却（わす）れない　心に誓った
希望（ひかり）の炎（ひ）をずっと絶やさないよ

桜、舞い散る　刹那、愛を求めて　生命（いのち）震わせ
誰かを想いたい　守りたい　枯れゆく日まで

今始まる物語へ
何度も咲き誇るため　永い追憶（ゆめ）の瞬きを追いかけ続ける

遥か彼方で鳴り響く声明（こえ）　迷い砕き　天を裂く
永い追憶（ゆめ）の瞬きを　この身に刻んでく
明けゆく空に心向ければ　使命（すべて）の本意（いみ）に気づくだろう
色褪せない閃光（かがやき）を抱いて　遠き未来（あす）へ歩き出そう